めまいのQ and A (A9-A15)

H メニエール病とはどんな病気か? (下図もご参照ください)

 メニエール病は、めまいのときに難聴(耳の聞こえが悪くなる)、耳鳴り、耳がつまった感じなどの聞こえの症状を伴い、このようなめまい発作を反復する病気です。発作時のめまいは高度で、吐き気、嘔吐を伴う場合が多数ですが、意識の障害や言葉のもつれ、運動の障害を伴うことはありません。

 難聴などの聞こえの症状は、発作後に軽快しますが、めまい発作を繰り返すたびに次第に増悪することがあります。発作の間隔は、週1回程度から年数回程度まで様々です。メニエール病のめまい発作は発症後1〜2年位の間に軽快する症例が多数ですが、症例によっては数年以上にわたる例もあります。また、発作を繰り返すうちに難聴が回復せず、次第に高度となる症例があります。

 メニエール病の治療は、発作時と発作後で異なります。発作時では、めまいと難聴への治療が主体となります。また、発作後ではめまい発作を予防し、発作の間隔ができるだけ長くなるように、色々な対策を講じます。

 メニエール病の発作は、ストレス、過労、睡眠不足などがきっかけで起こる場合が多いので、これらをできるだけ避け規則正しい生活を送るようライフスタイルの見直しも重要です。発作の予防対策は薬物治療が主体ですが、発作が頻発する場合には種々の手術治療の対象となります。

 なお、メニエール病の名称はフランス人医師メニエール(1799―1862)に由来します。メニエールは、それまで脳の病気で起こるとされていためまいが、耳(内耳)の病気で起こることを初めて報告しました。




I 良性発作性頭位めまい症とはどんな病気か?

 良性発作性頭位めまい症は、朝、起きあがろうとするときなどに、ある方向へ頭の位置を変化したときにめまいが起こる病気です。通常、めまいは数十秒間以内に消失し、吐き気・嘔吐を伴うことはありますが、聞こえが悪くなったり、意識や言葉、運動の障害を伴うことはありません。

 原因として、頭部の運動を感ずる内耳の半規管と言われる管の中に、耳石という小さな砂粒のような結晶が紛れ込むためと考えられています。頭の位置が変わるたびに耳石が動き、それが半規管を刺激しめまいが生じるのです。寝返り、首の前傾(お辞儀、洗顔など)、後傾(洗濯物を干すときなど)、起床時や就寝時にめまいが起こります。

  

内耳         頭の位置が変わると → 
← 頭の位置が変わると

 治療として、薬物治療の他にEpley法などの運動療法が有効です。これは頭をゆっくりと回転させて、耳石をもとの場所に戻してやる方法で、数分間でできる治療です。このような症状に心当たりがあったら、めまい専門医への受診をお勧めします。


J 前庭神経炎とはどんな病気か?

 前庭神経炎は、突然の激しいめまい発作で発症します。発症前に風邪にかかっている場合が多く、頭部の運動を感じて体の平衡機能(体のバランスを保つ機能)を司る内耳の三半規管から脳に繋がっている神経(前庭神経)への、ウイルス感染が原因と考えられています。

 この病気では、めまいのみで聞こえが悪くなることはありません。激しいめまいは数日間で軽快し、それ以後は体を動かすときにフラフラするといった、軽度のめまい感が続きます。

 診断にはめまい発作を繰り返すメニエール病や、めまいを伴う突発性難聴などとの区別が必要となります。発作時には、めまいの軽減、吐き気、嘔吐などへの薬物治療が主体となりますが、発作期以後の軽度のめまい感には運動療法(平衡訓練)が有効なことがあります。この病気の心当たりがあれば、めまい専門医への受診をお勧めします。


K めまいを伴った突発性難聴とはどんな病気か?

 特別な原因がないのに、ある日突然内耳の働きが低下して、耳が聞こえなくなる突発性難聴という病気があります。内耳には音を聞く機能の他に、頭の運動を感じて体のバランスを保つ役割があります。この両方の機能が障害されると、難聴とほぼ同時に、激しいめまいやふらつきが生じます。めまいが発症したときは、同時に難聴も起きていないか、気を付けて下さい。


                       

なお、突発性難聴には難聴のみでめまいを伴わないタイプのものもあります。いずれも早期の治療が望まれます。

 めまいが起こり、難聴・耳鳴り・耳がつまった感じなどの症状が伴う病気には、突発性難聴の他にいくつかのものがあります。できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。


L 「危ないめまい」とはどんな病気か?

 めまいは、不愉快な症状で、初めて経験した方は「脳卒中と思った」、「人生の終わりを感じた」などの感想を持つ人も少なくありません。実際にはめまいの中で生命にかかわったり、重大な後遺症を残す「危険なめまい」は比較的少数です。

 しかし、ときとして、脳卒中(急性脳血管障害)、脳腫瘍のように重大な脳の病気が原因で発症する、「危険なめまい」があります。

1.脳卒中(急性脳血管障害)によるめまい

 脳の中で、めまいを感ずる部分はそれほど広い範囲ではありません。脳の中で、運動の調節を行う小脳、あるいは小脳に隣接している脳幹に脳卒中による障害が起こると、内耳が病気に起こったような激しいめまいが起こります。

 血管障害には、一時的な脳梗塞、脳出血などがあります。これには、心臓病(不整脈、弁膜症など)、高血圧、糖尿病、高脂血症などが基礎疾患として関係している場合があります。

 「脳卒中による危険なめまい」の症状は下記のように要約されます。

 めまいの他に、意識の障害、言葉の障害(ろれつが回らない)、運動・歩行の障害、燕下(飲みこみ)の障害、感覚の障害(触っても判らない)、物が二重に見える、激しい頭痛などの症状を伴っていることが多い。ただし、これらの症状がめまいと同時ではなく、前後して出現してくることもあるので専門医による注意深い経過観察が必要です)。


2.脳腫瘍によるめまい

 脳腫瘍によるめまいはあまり多くはありませんが、脳腫瘍はめまい以外の神経症状(脳卒中の項を参照)を引き起こしたり、場合によっては命にかかわる危険もあるので十分な注意が必要です。脳腫瘍によるめまいの徴候は下記のように要約されます。

  1. メニエール病のような激しいめまいを起こすことは少ない。
  2. 軽度のめまい、体が浮く様な感じが長期にわたって続くことがある。
  3. めまい感よりも、歩行時によろける、姿勢の維持が困難、などの具体的な体のバランスの障害を訴えることが多い。
  4. いろいろな神経症状を合併することがある。
  5. 腫瘍の場所や大きさによっては、めまいや浮動感などを訴えない症例もある。

 なお、めまいに関連した脳腫瘍で最も多いのは、内耳と脳を連結している神経(前庭神経)から発生する聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)という良性腫瘍です。この腫瘍では発作性めまいを生じることは少なく、難聴が主症状になるのが通常です。症例によっては軽度のめまいやふらつきが続く事もあります。

 

一般的に、脳に原因があるめまいは、長く続いて治り難くかったり他の神経症状を伴うことが多く、このような場合には早めに専門医を受診されることをお勧めします。


M 立ちくらみとはなにか?

 子供のとき、朝礼で長時間立っていると気分が悪くなったり、さらには目の前が暗くなって、うずくまってしまったという様な経験はないでしょうか? この症状が立ちくらみで、広い意味でめまい感に含まれます。立ちくらみは子供に限らず、成人にもみられます。人間には急に立ちあがったり、長時間立っているときなど、足の血管を収縮して血液が流れ込みにくくし、その分大量に酸素を消費する脳への血流を増やす機能があります。これを調整する自律神経の機能が障害されると、脳の循環が減少し、立ちくらみの症状が生じます。

 寝ているときと立ち上がったときの血圧の変化を測定することで診断します。自律神経の安定のため生活改善、また自律神経機能を調節する薬物治療が行われます。また、自律神経の障害をきたす原因があればその治療も必要となってきます。


N原因不明の(反復性)めまいとはなにか?

 めまいのおきる原因をしっかり調べても,原因が特定できないことがあります。その理由は,めまいをおこす原因が非常に多く,複数の病気が関わってめまいが生じることがある為です。

 原因が判らないため,不安になると思いますが,大事な点は,めまいが繰り返して起きた後に,後遺症(めまいがないときにみられる体の様々な症状)がみられるか否かという点です。実際には,後遺症がある場合は,それを手がかりにしてめまいの原因を特定することが可能となります。後遺症もなく,めまいのみが繰り返す場合には,めまいが生じる誘因があればそれを避ける,あるいはその時には以下の点を注意しておくことが大事となります。一般的には,めまいは精神的・身体的ストレスのある時に出現しますので,規則正しい生活を日頃から念頭におくことが,めまいの予防につながります。

 めまいが起きているときには,内耳からおきるめまいと同様に,安静にして,めまい止めのお薬を服用すれば,めまいを軽くすることが可能です。


注意

 ここにあげられた情報は、病気の診断・治療を個人で行うためのものではありません。症状があるとき、また説明が必要な時は、専門医療機関を受診してください。